無線LAN(Wi-Fi)アクセスポイント応用

(1)2台以上の無線アクセスポイントでローミング

(2)無線アクセスポイントでのVLAN利用

 


(1)2台以上の無線アクセスポイントでローミング

デジタルミキサーのメリットのひとつとして、iPadやタブレットPCなどから無線LANで離れた場所からのコントロールがあげられます。

機種によっては、複数台の端末を接続出来る製品もあり、メイン卓のサブディスプレイ、モニター卓代わり、離れた場所でのリモートコントロール、ステージ上でのセルフコントロールなど、可能性はまだまだあります。

ところが、無線LANという性質上、途切れてしまうこともあり、せっかくの便利な機能が一転してトラブルの元になってしまいます。

ここでは、無線LANの特徴をとらえ、環境に適した設定方法など出来る限り途切れることが無い安定した使用方法をご紹介していきます。

 

1.ブース~舞台間を有線接続とした2か所以上のアクセスポイント例

無線アクセスポイントをFOHブースと舞台側の2か所に設置し、その間は有線接続とすることで、エリアを拡大する方法です。

無線LANアクセスポイントを1台でハイパワータイプにするより、必要な個所で最小限なパワーとすることで、不要な電波を出すことなく安定した運用となります。

外部アンテナ対応型であれば、指向性アンテナの併用も有効です。

オーディオネットワークがDANTEやEtherSound,REACなどであれば、L2スイッチのVLANを使用することで、1本のLANケーブルや光ファイバーでも構築可能です。(リダンダンシーだとセカンダリーと併用など)

 

2か所の無線アクセスポイントは下記の設定をすることで、移動した際もそのまま使用を続けることが可能です。


種類やメーカーの違うアクセスポイントでも出来ます。(例外もあります)

Ciscoなど業務用のアクセスポイントであれば、無線LANコントローラーを使用することで、パワー・チャンネルなどの自動設定、干渉検出・電波監視などを行うことが可能です。

 

ローミング設定方法

2つの無線アクセスポイントの下記設定を同様にする。

●SSID

●セキュリティ(WPA2-PSKがおすすめ)

●パスワード


それぞれのアクセスポイントのチャンネルを変える(2.4Gだと6CH/11CHのように)

 

注意点として、2つのアクセスポイントのエリア(セル)の重なる部分が15%ぐらいだとうまくローミング出来ます。

これ以上だと、なかなか切り替わってくれなかったり、少ないと途切れますので、送信出力や設置場所で、うまく調整するのがポイントです。

 


(2)無線アクセスポイントでのVLAN利用

無線アクセスポイントのタグVLANとSSIDを紐づけすることで、アクセス出来る範囲を分けるという利用方法です。もちろんセキュリティやパスワード、SSIDを隠すことで外部アクセスを防ぐこともできますし、ゲストSSIDを作って、そのネットワークはインターネットのみ接続可能など、ルーターの設定次第で多彩なアクセス制御が可能です。

管理VLAN(SSID:admin):管理用VLAN(スイッチなどネットワーク管理&ファームアップ用)

テクニカルVLAN(SSID:tec-sound):ミキサーのiPad/PCコントロール用

制作VLAN(SSID:manage):インターネットに接続可、サーバーからの音源データなどの転送にも使用

DANTE VLAN(SSID:DANTE):DANTEオーディオ用、無線APはDANTEコントローラ用でどこにいてもパッチや管理可能)

アップリンク:タグVLANですべてのスイッチ間をトランク(アップリンク)回線で結ぶ

 

例では、ネットワーク共有をわかりやすくするために、AoIP(DANTE)も同一ネットワークにのせていますが、運用上別にすることも出来ますし、確実にプランすれば一緒でも問題はありません。

 

アクセスポイントが全セクションで共有されるので、電波干渉の原因もなくなり、数多くのアクセスポイントを設置することでシームレスな運用が可能です。

このような一見複雑なシステムも一度構築すればあとの運用は楽になります。

 

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